7月22日からGo To トラベルキャンペーンが開始となった。
運営事務委託費が高額となったがゆえの仕切り直しに始まり、突然の開始時期前倒し、「東京除外」とキャンセル料の政府負担……。ドタバタの連続でネガティブな評価ばかりが続くこのキャンペーン。その是非はこの際おいておくとしても、しくみ自体が非常に細かくわかりづらい。そこで、観光庁のホームページ(https://www.mlit.go.jp/kankocho/page01_000637.html)の役所言葉をかみ砕きつつ、重要な項目に限定したFAQをトラベルジャーナリストの橋賀秀紀氏が解説する(※7月21日時点の情報を基にしています)。
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<キャンペーン全般への疑問>Q1:Go To トラベルキャンペーンの期間は結局いつからいつまでなのか?
A1:キャンペーンの開始は7月22日(水)から。ただし、当初はまだ業者の準備が整っていないので、宿泊先で領収書と宿泊証明書を発行してもらい、申請書、個人情報同意書とともに事務局に申請することで、事後払いという形をとる。
実際に旅行業者・予約サイト・宿の直販サイトなどを通じて割引価格で販売されるのは7月27日(月)以降。この時点で準備が整っていない業者については、それ以降のスタートということになる。
キャンペーンの終了は2021年1月末を予定している。
Q2:キャンペーンで1泊10万円還元も可能って本当?
A2:1人1泊につき2万円が上限。日帰りツアーの場合は1万円が上限。ツアーの場合は、ツアー期間中の総宿泊数が4泊なら上限は8万円。そのため16万円のツアーなら最大8万円相当が還元される。ただし、フリーツアーの一部で見られるように5日のツアーにもかかわらず最初の1泊しか宿泊がついていない場合は、最大2万円しか還元されない。
宿泊施設の予約のみをキャンペーン対象とする場合は、1室2名なら、8万円の宿泊費に対して4万円の還元が上限。1室3名なら12万円に対して6万円が上限となる。ちなみに一部の民泊もキャンペーンの対象となるが、1つの物件に5名で宿泊する場合、1泊20万円で10万円還元となる。ちなみに幼児であっても1人とカウントする。
Q3:キャンペーンの宿泊数や利用回数に上限はあるのか?
A3:ない。極端な話、ホテルに住み込みで働いている長期滞在者もすべて還元の対象者となる。
Q4:出張もキャンペーンの対象となるのか?
A4:今回のキャンペーンで目的による制約はない。そのため、出張や仕事のための長期滞在など、すべての宿泊やツアー利用がキャンペーンの対象となる。
Q5:地方公共団体が独自に行うキャンペーンとの併用は可能?
A5:地方公共団体が独自に行う割引キャンペーンは、地方公共団体によって併用が可能な場合と不可能な場合がある。それぞれの地方公共団体の割引に関するルールを確認すること。可能な場合は、原則として地方公共団体の割引前の金額をもとに還元される。
Q6:ホテルの割引クーポンとの併用は可能?
A6:可能だが、割引クーポンで割り引かれた金額を基準としての還元となる。たとえば1万5000円のホテルに5000円引きクーポンを利用して宿泊する場合、1万円からの還元となる。
Q7:ホテルに滞在中、当日になって朝食を注文した場合は割り引かれる?
A7:割り引かれない。事前に朝食つきプランを予約した場合は割引の対象となる。
Q8:JR東日本が行う運賃の最大50%割引(お先にトクだ値スペシャル)や、JR北海道の乗り放題パス(HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス)などはキャンペーンの対象?
A8:個人でこれらのきっぷを単体で購入するかぎり、キャンペーンの対象とはならない。ただし、これらの割引きっぷを購入し、宿泊施設をキャンペーンの割引とする組み合わせは可能。また、旅行会社経由で宿泊施設などと同時に手配すれば、トータルの旅費がキャンペーンの対象となる。
Q9:旅行代金や宿泊代金をマイルやポイントで支払った場合は?
A9:キャンペーンの対象となる。また、たとえば1万円のうち3000円分をポイントで支払った場合も1万円からの還元となる。
Q10:QUOカードなどの換金性の高い金券を含んだ宿泊プランは割引の対象?
A10:対象とならない。ツイッターではこうしたプランとキャンペーンを組み合わせることで「Go to 錬金術」というキーワードが出回ったが実際には不可能。
Q11:キャンペーンはすべての旅行業者や宿泊業者が対象ではないって本当?
A11:旅行者全員の検温と本人確認、浴場や飲食施設での人数制限や時間制限、ビュッフェでの食事の個別提供などの対策を行い、登録をすませた業者のみが対象となる。そのため、この登録を行わずキャンペーンの対象とならない宿泊施設が出てくることが想像される。規模の小さな宿泊施設や民泊などでは、対象外の施設の割合が相対的に高くなることも想定される。なお、感染予防対策については国土交通省が何らかの形でチェックするようだが、その方法については明らかにされていない。マンパワーなどを考えると抜き打ちのチェックのような形式をとらざるをえないだろう。
Q12:日本在住の外国人もキャンペーンの対象となるのか?
A12:国内旅行需要の喚起が目的のため、対象となる。
<宿泊施設・夜行列車・夜行フェリーについての疑問>Q13:ゲストハウス、ドミトリー、カプセルホテル、ウィークリーマンションはキャンペーンの対象となるのか?
A13:対象となる。
Q14:民泊や農泊はキャンペーンの対象となるのか?
A14:住宅宿泊事業法の届出をした住宅、国家戦略特区法の認定を受けた民泊は対象となる。
Q15:キャンプ場はキャンペーンの対象となるのか?
A15:コテージ、バンガロー、常設テントは支援の対象となる。しかし、持ち込みテントのための区画は対象外。
Q16:ラブホテルやモーテルはキャンペーンの対象となるのか?
A16:ラブホテルやモーテル、レンタルルームは性風俗関連特殊営業を営む宿泊施設なのでキャンペーンの対象外。
Q17:会員制のリゾートホテル・マンションはキャンペーンの対象となるのか?
A17:1泊あたりの宿泊料金が設定されている場合は対象となる。しかし、会費を払うことで一定の日数無料で宿泊できるものについては対象とならない。
Q18:サンライズ出雲・瀬戸のノビノビ座席はキャンペーンの対象となるのか?
A18:フルフラットの睡眠スペースに毛布などの寝具が提供されているので割引の対象となる。
Q19:夜行フェリーとは何時から何時の間に運航するものか?
A19:単体で割引の対象となる夜行フェリーは運航時間が一部でも午後9時から午前3時の間におさまっている便とする(観光庁のホームページには検討中とある)。
<地域共通クーポンについての疑問>Q20:地域共通クーポンはどこで使えるの?
A20:土産物店、飲食店、観光施設、アクティビティー、公共交通機関、タクシーなどのうち、クーポンの加盟店で利用できる。加盟店はホームページなどで告知される予定。
Q21:地域共通クーポンが確実に使えないのは?
A21:宿泊代金、行政機関への支払い、光熱費などの支払い、換金性の高いもの、パチンコ店、ゲームセンター、雀荘、性風俗店。
Q22:地域共通クーポンは9月1日から使えるというのは本当?
A22:15%還元相当の地域共通クーポンは9月中をめどに始まる。つまり、最も早い場合は9月1日、遅い場合は9月30日からとなる。夏休みの旅行ということばかり注目されるが、秋から冬にかけては地域共通クーポンによって最大50%程度の還元が期待でき、最もおすすめできる期間ということができる。
Q23:地域共通クーポンは目的地の隣の県でも使えるの?
A23:地域共通クーポンは目的地(宿泊地)の都道府県とその都道府県に隣接する都道府県で、旅行期間中にのみ利用できる。
Q24:地域共通クーポンの四捨五入で最大55%割引ってどういうこと?
A24:旅行代金の15%相当が地域共通クーポンだが、1000円未満は四捨五入となる。たとえばツアー代金が1万円の場合は15%還元なので1500円相当になるはずだが、四捨五入なので切り上げとなり2000円分のクーポンが提供される。そのため、旅行代金の割引の35%還元と地域共通クーポンの20%還元で合計55%還元となる。逆にツアー代金が9800円の場合、15%は1470円だが切り捨てのために地域共通クーポンは1000円となり、トータルで45%還元となる。そのため、代金によって、実際には45~55%程度の還元になると考えられる。ちなみに地域共通クーポンにお釣りはでない。
<東京除外についての疑問>Q25:東京都に居住しているかどうかどうやって確認する?
A25:旅行の申し込み時、宿泊施設のチェックイン時に運転免許証や健康保険証など、住所を証明できる書類を提示する。住民票に登録された住所で判断するので、東京都内に住んでいても東京都外に住民票がある人は対象。逆に東京都外に住んでいても東京都に住民票がある人は対象外となる。なお、チェックイン時に住所を確認するのは宿泊代表者のみとする宿泊施設が多い。この場合、宿泊代表者以外が東京都在住者であっても関知されないことになる。
Q26:神奈川県や千葉県、埼玉県に居住している人が東京駅や羽田空港から出発する場合は対象となる?
A26:対象となる。基準はあくまで旅行者の現在居住している都道府県で決まる。
Q27:東京都民が東京都内のホテルに宿泊する場合は対象となる?
A27:対象とならない。東京都なので奥多摩や伊豆七島もすべて割引の対象外。なお、プリンスホテルが東京都在住の住民を対象にした割引キャンペーン(https://www.princehotels.co.jp/tokyocityarea/tokyo_campaign/index.pdf)を発表している。
Q28:大阪発で東京駅を経由して千葉県浦安市の東京ディズニーリゾート周辺で宿泊するツアーは対象となる?
A28:対象となる。東京都内で宿泊をともなわずに千葉県の浦安市や市川市などに宿泊し、そこから連日日中に東京都内に出かけたとしても、それを個別に追うことが不可能なので黙認となる。ただし、旅行会社を通じて、東京都内の観光や食事などを手配した場合などは、東京都も目的地とみなして対象外となる。
Q29:東京都民以外が東京都内の駅や港を発着する夜行列車、夜行フェリー、クルーズを利用した場合は対象となる?
A29:対象とならない。たとえばサンライズ出雲・瀬戸の場合、横浜駅発着は対象、東京駅発着は対象外となる。
Q30:東京都の除外決定にともなうキャンセル料を国が負担するのはいつの時点の予約?
A30:7月10日から17日にかけて予約した分。旅行会社やホテルには利用者にキャンセル料を請求しないように求め、損失分は国が負担する。
Q31:東京都の除外はキャンペーン終了時まで続くのか?
A31:東京都での感染状況が落ち着けば、政府の方針によって解除される。
(橋賀 秀紀)
(出典 news.nicovideo.jp)
私たちもうまく活用してみたいですね!!笑
<このニュースへのネットの反応>
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