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どんなクルマ?

textShigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

プリウスPHVに続くプラグインハイブリッド車として開発されたモデルが、RAV4 PHVである。

その名のとおり、外部からの充電が可能なのがPHVの特徴だが、PHV化に合わせた変更が加えられている。スペックで最も目立つのはハイブリッドバッテリーの容量拡大である。

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トヨタRAV4 PHVブラックトーン。    前田恵介

1.59kWhのRAV4 HV(ハイブリッド)に対して、PHVは10倍以上の18.1kWh。

しかも劣化抑制のための常用容量制限が厳しいニッケル水素から制限が少ないリチウムイオン電池への変更で、実用容量の差はさらに拡大している。

また、E-Four(Eフォー)の後輪駆動ユニットは共通しているが、ハイブリッドシステムと一体となった前輪駆動モーターを、HVの46kW(62ps)増となる134kWの新型モーターに変更。

エンジン型式はHVと共通するが、これもPHV用にトルク特性などの見直しが図られている。

興味深いのは外部充電システムである。

充電時間/価格差について

外部充電の方式は、普通充電のみの対応。100V/6A、もしくは200V/16Aとなり、充電時間の短い200Vでも満充電には5時間以上掛かる計算だ。

当然、出先での再充電は難しく、車両保管場所での充電が基本となる。

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RAV4 PHVは、9インチディスプレイオーディオが標準搭載される。    前田恵介

ちなみにプリウスPHVは、OP設定で急速充電に対応できる。急速充電スタンドの普及と急速充電必須のEV(電気自動車)を考えると、PHVは急速充電スタンドの使用を控えるべきとの考え方もあり、普通充電のみとしたのは1つの見識ではある。

価格は装備揃えでHV/Eフォーの約70万円高。プリウスのHVとPHVにほぼ準じた価格差であり、ベース車の元値の違いを考慮するならプリウスよりも多少手頃感のある値付けだ。

アウトドア趣味のレジャー適応で主役となるミドルSUVとしては射程距離に収まる価格設定でもあり、走りの付加価値を気に入ればエコプレミアムに傾倒していなくても狙い目となりそうである。


どんな感じ? 内外装、演出は少

外観を見てPHVと見当がつくのは「PHV」「PLUG-IN HYBRID」のバッヂと右リアフェンダー部にある充電用ハッチの有無、フロント・フォグランランプ形状の差くらい。

標準系モデルガソリン/HV)には設定のない黒色ルーフの2トーン車体色なら即PHVと分かるが、PHVを選んだことをこれ見よがしにしたいユーザーにとっては外観の差が少なすぎる。

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トヨタRAV4 PHVブラックトーンの前席内装。    前田恵介

走行性能や走りの味わいで選ぶ、内容本意のモデルとして捉えて欲しいのだろう。

余談ながら標準系にも2トーン車体色は設定されるが、オフローダー感を高めた専用フロントマスクを採用したアドベンチャー専用で、ルーフ色も白。PHVアドベンチャー同様の外装設定はない。

内装も標準系モデルに準じている。PHVにはパッドPC的なデザインの9インチDA(ディスプレイオーディオ)が標準装着されているが、同様のものが標準系にもディーラーOPで設定されているので、内装も「これ見よがし」の演出はない。

使いこなしたい、走行モード

PHVをさり気なく主張するのはセレクターレバー前方に設置された2つの走行モード切替スイッチ

1つは、HV/EV/チャージの走行モードの選択。もう1つは、HVモード/EVモードを自動で切り替えるAUTOオートモード用。

使い分けるのが面倒臭そうだが、それぞれの走行モードパワートレインの稼働状況だけでなく運転感覚も多少異なり、上手に使い分ければより効率的な走行が可能になる。


HVモード 上位モデルの走り

HVモードは標準系HVに似た印象で、全体的に力感を嵩上げしている。

低速域では電動走行を主体とするが、速度や加速の上昇に対して比較的早いタイミングエンジンを稼働。内燃機/電動の二人三脚で、HVモード選択時の蓄電量を維持するように制御。

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トヨタRAV4 PHVブラックトーン。    前田恵介

市街地や一般路では滑らかに力強く、深い踏み込みの加速では標準系HVを上回るダッシュ力を発揮。PHVが動力性能面でも標準系HVの上位モデルなのが実感できる。

EVモードは、蓄電量が不足しない限りエンジンを一切稼働させない。アクセルを床まで踏み込んでもだ。

また、PHVのエアコンは冷暖房とも家庭用エアコン同様に電動コンプレッサーを用いたヒートポンプ方式を採用するので、原則的にエンジンの暖機稼働も行わない。

電動パワーの制御 その出来は?

電動の特徴の1つは、ペダル操作に対するトルク増減の応答遅れがほとんどないこと。そのままでは神経質なので、プログラムで俊敏な反応と穏やかな繋がりを作るのが勘所。この制御は上手い。

電動ならではの力強い反応と、身構える必要のない運転のしやすさが、巧く融合している。

ただし、深い踏み込みでの加速は意外と緩い。アクセルペダル・ストロークの半分くらいで、最大トルクの7割を使ってしまうような感じである。前後モーターの出力合計が174kW、馬力換算なら240ps近い出力を考えれば遅いような気もするが、PCUなどの容量から全開加速性能はNAの2L車相応に抑えているとのこと。

もっとも、試乗チェックのために全開にしたものの、ふつうに走ればペダルストロークは半分以下。EVモードの意義からしても難点というほどではない。


心地良いAUTOモード

チャージモードは、蓄電量低下時に外部充電なしでEVモード復帰するための機能とすれば分かりやすい。

駆動制御はHVモードに準じていたが、停車時も含めてエンジンは稼働。エコ的にはオマケ程度の機能だが、AUTOモード用の支援モードとしては有意義。

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内装におけるPHVの識別点は、2つの走行モードの切替スイッチ。HV/EV/チャージの選択ボタン、もう1つはAUTOモードボタン。    前田恵介

AUTOモードは、HVモードとEVモードの「いいとこ取り」である。

十分な蓄電量がある状態ならEVモードを基本として、急加速などのパワーが必要な状況で自動的にHVモードに移行。EV時の力強く滑らかな力感と、HV時の伸びやかな加速がシームレスに繋がり、市街地から高速までとても心地よいパワーフィールを示す。

燃費を考えるとあまり勧められないが、蓄電量が低下してEVモードに入らなくなったらチャージモードを使って復帰させるのも手である。

最低地上高/安全装備/荷室

その他の走行関連の機能は、HVのEフォー車に準じている。

4WDトルク分配制御ではスタックからの脱出を想定し、前後輪のトルク分配に加えてブレーキを用いた電子制御LSD効果を強化したトレイルモードを設定。

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トランク下のスペースPHV化によってこのとおり。荷室のアレンジも写真に撮ってきたので確認して欲しい。    前田恵介

重量増は多少気になるものの、195mmの最低地上高(ブラックトーン:200mm)と合わせて他標準系に勝るとも劣らない悪路踏破性が期待できる。

全車速型ACCや前走車追従モードを備えた走行ライン制御型LKA(レーン・キーピング・アシスト)などのトヨタセーフティ・センスの内容も共通。フットワークは重量増が利いてか沈み込みを意識する重質な味わいが深まったが、大まかにはHVに似た味わい。

ダートランナー的な適度な硬さで、収まりと追従性のいいハンドリングを示す。

床下収納スペースが減少しているが、それ以外のRAV4の魅力は維持もしくは上乗せ。アウトドア趣味を楽しむためのSUVらしい実用性を備えている。


「買い」か?

RAV4 PHVの注目して欲しいスペックの1つは、HV走行でのWLTCモード燃費。

市街地/郊外/高速の全モードで標準系Eフォー車を上回っている。とくに、市街地モードでの上げ代が大きい。

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トヨタRAV4 PHVブラックトーンの後席内装。    前田恵介

標準系Eフォー車より210kgも重くなって不思議に思えるかもしれないが、重量増は運動エネルギーの蓄積量増に直結。加速で消費したエネルギーを回生で効率良く回収できれば、損失は抑えられる。

効率的なHVでは、重量増は燃費のハンデにならない。要するにPHVは、回生ブレーキ効率が標準系HVから向上しているのだ。

高速モード燃費の向上については、モーターの高出力化で電動の効率低下速度域が高まったと考えるのが妥当だろう。HVシステムそのものがグレードアップしているのだ。

だからといってHVとの価格差を燃費で回収するのは無理。

新型車PHV 向いているユーザーは?

満充電からの300kmドライブをしたとしても、燃料代(除充電代)の差額は800円150円/L換算)前後。

週一のペースで70万円を回収するには18年も掛かってしまう。ならばEV走行レンジの95kmで計算すると9万km以上の走行距離が必要。

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トヨタRAV4 PHVブラックトーン。    前田恵介

言うまでもなくEVモードだけで10万km近く走れるならEVを選んだほうがいい。つまり、経済的に考えればPHVを選ぶメリットはない。

それでもRAV4 PHVは魅力的だ。

EV走行だけでなくHVとしての性能に優れる。SUVとして良質な走り。アウトドア趣味に使いやすいキャビンやボディワーク等々。

高価といってもプレミアムSUVとすれば納得できる価格。

もちろん、エコ性能やアウトドア趣味を軸脚にした価値感の上でだが。寧ろアウトドア趣味を楽しみたいからこそ、環境負担の少ないSUVを求めるユーザーには当を得たモデルといえよう。

RAV4 PHV 試乗車スペック

トヨタRAV4 PHVブラックトーン(プラグイン・ハイブリッド/Eフォー)

価格:539万円
全長:4600mm
全幅:1855mm
全高:1695mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:22.2km/L(WLTCモード
CO2排出量:105g/km
車両重量:1920kg
ドライブトレイン:直列4気筒2487cc+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):177ps/6000rpm
最大トルクエンジン):22.3kg-m/3600rpm
最高出力(前モーター):182ps
最大トルク(前モーター):27.5kg-m
最高出力(後モーター):54ps
最大トルク(後モーター):12.3kg-m
ギアボックス:電気式無段変速機
乗車定員:5名


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トヨタRAV4 PHVブラックトーン。    前田恵介


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(出典 news.nicovideo.jp)

【プラグインの評価は?】トヨタRAV4 PHV試乗 ハイブリッド仕様との違い 充電/内装/荷室は?

これキャンプに行くのに最高のSUVですね!!



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