「新しい生活様式」で男女の出会いも変わろうとしている。オンライン飲み会形式に加え「健康的な出会い」が注目されているのだ。実態を取材した。
真夏の太陽が燦々と降り注ぐお盆の最中、あるイベントが開催された。
その名は「ウォーキング&薬膳料理交流会」。青山霊園から乃木坂という都心でも緑豊かな土地を散策した後は、免疫力を上げる薬膳料理に舌鼓を打ち交流するという内容だ。
実はこれ、ウィズコロナ時代ならではの婚活イベントなのだ。参加した男女は言う。
「4月以降、オンラインでのお見合いばっかりだったので、久しぶりにリアルなパーティに出席できて楽しかった」(30代・女性)
「街ブラが好きという共通項があり、普通のお見合いパーティよりも会話が盛り上がった気がします」(40代・男性)
同イベントを主催したワールドマリアージュ倶楽部のマダムいくこさんはこう話す。
「30~50代の独身男女14人が参加してくれました。コロナで巣ごもり生活を送っていたので、半年ぶりにこういった場に足を運んだという人もいました。皆さんから、『元気が出た』『前向きになった』という感想をいただきました」
◆3密を避けつつも親密になれる
コロナ禍で婚活・恋活業界は大きな痛手を負った。対面が前提のパーティやお見合いは軒並み廃止となり、結婚相談所では加入者へのカウンセリングも自粛に。婚活事業最大手のIBJの決算資料によれば、今年1~6月の営業利益はなんとマイナス89.8%。大手でも地方の相談所を閉鎖したり、中小業者では廃業も少なくない。
こうしたなか、どの企業も生き残りを模索しており、ビデオ通話を利用するなどオンライン化にシフトしているが、生身の接触が一切ない“出会い”に違和感を覚える人も多い。そこで、夏以降に盛り上がりを見せてきたのが冒頭で紹介したような3密を避けつつも親密になれる“ヘルシー系”の出会いイベントなのだ。
今、もっとも人が集まっているのはバーベキューやキャンプ系のイベントだ。コロナ以前から人気はあったが、今夏でさらに盛り上がったという。恋活や既婚者合コンなどさまざまな出会いイベントをプロデュースするラバーズカレスの代表・HIRO氏は、これまではディスコやバーなどで男女50人ずつなど大規模なイベントを行っていたが、コロナ禍を機にヘルシー系に変えたという。
「7月頃からイベントを再開し、人数も最大で男女計30人、少ないと10人強でやってます。少なくなった分、こちらが盛り上げて、積極的に会話をさせたり、LINE交換を促しています」
参加前は「異性が少ない」という苦情もあるというが、いざ始まると、独身者からは「じっくり話せてよかった」という感想や、既婚者合コンの場合は「人数が少ないほうがバレにくくていい」との感想があったという。
「先日、8月開催のイベント参加者から、『HIROさんを信用して付き合ってみたら、相性が良くて婚約しました』という連絡をもらいました。コロナ禍でこうした出会いを提供でき、嬉しい限りですね」(HIRO氏)
成果も上々のようだ。
次にヘルシー系で人気が高まっているのが登山やパワースポット巡りなどヘルシー系の趣味コンだ。同種のイベントを数多く行うMariru Partyの代表・清原邦雄氏はこう話す。
「友達づくりに近い感覚で参加でき、同じ趣味を持つ人と出会えるのが趣味コンのメリット。開催地も観光地やデートスポットなので、雰囲気もいい。コロナ禍で問い合わせは増えています。通常の婚活パーティのように『はじめまして』から会話を始めるのではなく、隣に並んで歩きながら『今日はハイキング日和ですね』といった自然な会話からスタートできるので、人見知りの人も参加しやすい。アウトドア系は特に恋愛の成就に大切な“3つのING”、フィーリング・ハプニング・タイミングが生まれやすい点もメリットです」
別の登山系出会いイベントに参加した男性(30代)は言う。
「突如、夕立が降ったんですが、雨宿りのために立ち寄った麓の蕎麦屋で参加者たちがいい雰囲気になったんです。吊り橋効果っていうんですかね。僕も隣に座った女性とカップルになりましたが、他にも何組かその後、交際が始まったそうです」
こうしたイベントでは、通常のパーティに比べて仲良くなれる確率は高いようだ。
「山や海など、場所が都市部から離れている場合、解散後に同じ方向になりやすい。例えば高尾山なら新宿に集合することが多いのですが、それぞれ山手線、地下鉄というふうに分かれていく。『家が近いですね』『また会いましょう』という展開になりやすく、帰り道で恋が生まれるのです」(登山イベントに参加した40代女性)
◆ヨガ婚活も増えている!?
アウトドア系や屋外趣味コンと並び、増えてきたのが「ヨガ婚活」などフィットネスを取り入れた出会いパーティだ。DMMオンラインサロン『マリアージュ倶楽部』を運営する清水博司氏は、スポーツジムと提携した理由をこう述べる。
「ウィズコロナ時代の婚活イベントということで、マヅカダンスカンパニーさんと一緒にヨガやトレーニング系のイベントをスタートさせました。今後も盛り上がりそうなので、へルシー系イベントにさらに力を入れていく予定です」
コロナ禍ではフィットネス業界も大打撃を受けているが、痛手を被った業種同士がタッグを組み、新たな出会い様式を提供し始めている。今後、ますますバラエティ豊かになっていきそうだ。
『[婚活ビジネス]急成長のカラクリ』(扶桑社刊)の著者で、婚活評論家の有薗隼人氏は言う。
「7月以降、キャンプ合コンなどアウトドア系の出会いイベントは数も種類も増えており、人気も高まっています。感染リスクを考えた時に屋外だと安心できますし、それ以上に室内にじっと引きこもっていた期間が長いので、屋外に出て、体を動かしながらコミュニケーションを取りたいという需要も大きい。業界は厳しい状況にありますが、今後も斬新な企画が続々と出てくると思います」
これから屋外の気温は下がっていくが、ヘルシー系出会いイベントはさらに加熱しそうだ。
【フィットネス系】
ヨガやダンスで一緒に汗を流したら食事会で交流するという。
【寺巡り系・登山系】
3密を最も避けられるイベントとしてコロナ以降、一躍人気に。趣味が似た人と出会える点もメリットだ。
【免疫力アップ系】
免疫力を高めるメニューを参加者で食べる飲食イベントも登場。
【バーベキュー系】
換気不要の屋外はコロナ時代の定番人気。海、山、公園などで開催されている。
◆コロナ禍でテラス席の争奪戦が起きていた!
現在、飲食店の予約サイトで目につくのが「テラス席特集」だ。前出のHIRO氏はこう話す。
「テラス席やグランピング席は、インスタ映えもして、密じゃないから女性人気が高い。予約が埋まるのも早いですよ」
実際、都内の公園などに併設されているカフェレストランのテラス席は常に満席状態だという。
「夜のテラス席はどこも、普通のカップルから明らかに不倫してる男女、そしてパパ活系などで埋まっている状態。『とにかく会いたい、でも店内は嫌』という人が多いんでしょうね。もう争奪戦です」(都内に住む30代会社員)
「密になりやすいバーや居酒屋には足を踏み入れたくないという女性は多いので、テラス席のあるレストランで1次会をすれば、自然と宅飲みという流れに誘いやすい状況が生まれています」(同)
<取材・文/中山美里(オフィスキング) マリアージュ倶楽部 ラバーズカレス Mariru Party>
(出典 news.nicovideo.jp)
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