ダウンシュラフにはメーカーモデルもたくさん種類があって、どれを選べば良いか迷う登山装備のひとつです。値段にも差があり安いものだと1万円後半、高いもので10万円前後と幅が広いのも迷いを助長しています。

そこでダウンシュラフの基礎知識として表記の見方や、スペックの違いなどを知ることで自分に合ったシュラフ選びのコツがつかめるのではと思います。

ダウンシュラフの選び方ポイント

ダウンのメリット・デメリット

【メリット1】ダウンシュラフは軽量・コンパクト

シュラフを大きく分けるとダウンを使ったグループと化繊を使ったグループとに分けることができます。ダウンシュラフは保温性能に対して軽量でコンパクトです。

シュラフで人気のモンベルを例にとってみると、モンベルのダウンハガー800 #3と、バロウバッグ #3という同じ温度域の化繊シュラフを比べてみるとその大きさと重さの違いが分かりやすいと思います。

※横スクロールで表がスクロールできます。
アイテム ダウンハガー800 #3 バロウバッグ #3
種類 ダウンシュラフ 化繊シュラフ
重量 573g 1,050g
収納サイズ ∅14×28cm(3.8L) ∅18×36cm(7.3L)
価格 ¥30,000 ¥14,500
コンフォート温度 4度 6度
リミット温度 -1度 1度
エクストリーム温度 -16度 -14度
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モンベル(mont-bell)
モンベル(mont-bell) 寝袋 バロウバッグ #3 バルサム 右ジップ [最低使用温度1度] 1121273 BASM R/ZIP
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モンベル(mont-bell)

【デメリット1】水に弱く濡れると保温力低下

ダウンシュラフのバリア層(嵩)があると、それだけデッドエアを含むので保温力が上がります。しかし水に濡れると嵩が減って保温力が低下します。だからコンディションによって保温力に差が出てきます

対して化繊シュラフロフトダウンが少なく濡れに強いとされています。しかし実際にシュラフが濡れるかというと、テントにつく結露ぐらいのもので、基礎知識として知っておくと回避の仕方など知恵がつきます。

【デメリット2】自宅収納に迷う

ダウンシュラフは小さくコンパクトに圧縮できますが、自宅収納する際も圧縮をし続けることはお勧めしません

自宅で収納する時はダウンシュラフを購入するとオプションでついてくるストレージバッグに入れて保管します。

湿気がある環境でダウンが圧縮されている状態で保管し続けると、いざ使用する際に膨らみが悪くなってしまいます。

しっかりと乾燥をさせて使用すれば保温力は戻ってきますが、いざ使う時にいちいちしっかりと乾燥させるのは難しいので場所は取ってしまいますがストレージバッグに入れて保管することになります。

シュラフメーカーによってストレージバッグに入れた際の大きさが異なりますが、化繊シュラフより収納時は大きくなることを購入前に知っておくと便利です。

表記の見方

表記の見方のポイント

温度表記

ヨーロッパの温度検査規格というのが様々なメーカーに取り入れられています。ヨーロピアン・ノームやEN 13537と記述されていたらヨーロッパの温度検査規格が使用されています

シュラフスタッフサックにコンフォートリミットエクストリームと温度が書かれているタグがシュラフに縫い付けられていたり、メーカーカタログに記載があったりと様々な形で目にすることができます。

一昔前は寝袋の温度表記というものがメーカー独自で記載されていました。自社基準でコンフォートリミットエクストリームの記述があるのでシュラフスペックが比較しづらいというのが消費者にとってのデメリットでした。

例えばモンベルでコンフォート2度と記載されているものと、イスカコンフォート2度と記載されてるものとでどちらが温かいのか議論が絶えなかったと記憶しています。

ヨーロピアンノームは、こういった消費者の比較しづらいというデメリットを回避するために、認定された第三者機関がテストを行い、公平に温度を記載することでこの問題を解決するというものです。

お店のスタッフの方に聞くとこのヨーロピアンノームという規格が徐々に消費者の方々にも認知され始めてきているようです。

表記の見方-コンフォート

一般的な成人女性が寒さを感じることなく寝ることができる温度域とされています。一般的に女性は男性よりも寒さを感じやすいので約5度程度高く、使用温度を算出しているようです。

快適使用温度とも呼ばれ、この温度でシュラフを選ぶと安心安全です。

表記の見方-リミット

一般的な成人男性が寝袋の中で丸くなり8時間寝ることができる温度域とされています。これよりも低い温度ではリスクがあるという温度域で、下限温度とも呼ばれます。

表記の見方-エクストリーム

一般的な女性がシュラフの中で膝を抱えるくらい丸くなった状態で6時間までなら耐えられる温度域とされています。

この温度域で使用すると低体温症になる恐れがあり非常に危険です。

表記の見方-まとめ

上記のようにカタログ上では若干言い回しは異なると思いますが、自分がどの温度域で購入すべきか迷います。人それぞれ寒いと感じる温度が異なり、また経験が浅いとどの温度域がベストなのかということがわかりづらいです。

絶対とまでは言えませんが、実際にシュラフを使ってみたい季節におけるテント場の最低気温を調べてみて、その温度がコンフォートより上の温度になるようにシュラフを選ぶことをお勧めします。

例えば以下は赤岳鉱泉(標高2215m)付近の月間最低気温(2019年)を表したものです。

最低気温
1月 -15.3
2月 -16.3
3月 -10.6
4月 -4.9
5月 0.6
6月 5.6
7月 10.2
8月 10.8
9月 7
10月 -1
11月 -5.9
12月 -11.6

例えばモンベルの人気のシュラフ3番になると、コンフォートが4度、リミットが-1度なので、もしも赤岳鉱泉でこのシュラフを使って快適に就寝するのならば6月〜8月となります。もしもリミットで選ぶとなると5月〜10月となります。

実際にリミットでちょうど良いと感じる人もいれば、すごく寒かったと感想を述べる人も多いので、人それぞれ寒さの耐性が異なると理解して、最初はコンフォート温度でシュラフを選び、経験を積むことで自分の耐性を理解して調整をしていくというのがベストです。

ちなみに-15度以下の温度で検査することが困難なようでこの温度域はメーカー側がある程度追記するような形で設定しているということのようです。

ヨーロピアンノームの検査方法

ヨーロピアンノームの検査方法を見ると興味深い内容が記述されているので紹介します。

検査方法は温度センサーが装備されたマネキンに、長袖と足首までアンダーウェアを着用させます。シュラフに寝かせてキャンプ用のマットレスの上に乗せます。マネキンの内側5箇所の温度が測定され放熱の度合いを計測します。計測された温度と実験室の気温を計算式に当てはめて値を算出します。スリーピングバッグの保温性能は単純な中綿の量だけでなく、生地・種類・厚み・ジッパー等にも影響を受けるためテストではこれらを総合的に判断します。

ヨーロピアンノーム

実際にシュラフに潜り込む際にアンダーウェアのみで寝るか、もしくはミッドレイヤーダウンジャケットなどを着込んで寝るかなど人それぞれかと思います。ウェアを着込むことによって温度域に差が出てくるということを理解しましょう。

またキャンプマットレスとありますが、非常に良いマットレスを使っているようです。シュラフは体の重みで背中側の綿が潰れてしまい保温力が落ちがちです。シュラフに背中側の保温を頼るというのは難しく、どうしてもテントマットに頼ることになるので、シュラフと一緒にテントマットのスペックを確認することも大変重要です。

実際に寒かったからといってシュラフを買い換える前にテントマットを取り入れることも重要ですし、テントマットのスペックを確認することも怠らないように気をつけましょう。

テントマットではASTMというマットにおけるユーロノームのような第三者機関を活用するメーカーも出始めてきているので比較しやすくなっています。

フィルパワー

ダウンの測定基準の一つで圧力に対する反発力を表すものです。例えば760フィルパワーの場合は30gのダウンに圧力をかけて実験した際、760インチ反発するということです。フィルパワー指数が高いほど良いダウンと言われています。

フィルパワーの数値が高いということはフィルパワーの低い同じ重さのダウンよりも保温力が高いということになります。

言い換えればフィルパワーが高いと軽くてコンパクトダウンシュラフとなります。

フィルパワーの数値が高いとそのまま価格にもインパクトを及ぼすので、価格が高いシュラフフィルパワーも高いと言えます。

ファブリック

シュラフはファブリックの中にダウンが封入されていると言う構造になっており、多くはフィルパワーが高くなるとファブリックは薄くなってきます。ファブリックが厚いことで価格を安く仕上げることができるというメリットメーカー側にはあります。

メーカーごとに異なるとは思いますが、フィルパワーの数値が低いシュラフにはファブリックに厚手のものを使うことで価格を安く仕上げることができ、安さを売りにすることができます。

対してフィルパワーの数値が高いシュラフにはファブリックに薄手のものを使うことで価格は高くなりますが、軽さを売りにすることができます。

これだけではなく、フィルパワーが高いとダウンがファブリックから出てきづらいという特性があります。

フィルパワーが高いダウンは芯がない綿の部分だけを集めているという特性があります。逆にフィルパワーが低いダウンには芯が付いていることがあるため、重量も嵩み、ファブリックを突いてダウンが出て来やすくなってしまいます。

キルト構造

キルト構造には基本的に2種類で大きく分かれます。シングルキルト構造とボックスキルト構造でそれぞれメリットデメリットが存在します。

シングルキルト構造

重量を抑えることができる縫製方法で、表地と裏地を直接縫い合わせてボックスを作り、作られたボックスの中にダウンが封入されています。

直接縫い合わせることでコールドスポットが作られやすいために使用温度が高くなりがちです。

ボックスキルト構造

ダウンの保温性能を生かすために表地と裏地の間に通気性のあるメッシュを配置し、ダウンの偏りを防ぐために縦横にボックスを作っています。

表地と裏地を直接縫い合わせていないのでコールドスポットがなく保温力に優れています。

ここでいうコールドスポットは外からの冷気がシュラフの中に入ってきやすいという考え方と、シュラフの中に溜まった暖かい空気が出て行きやすいという2つの考え方があり保温力の違いが出てきます。

同じダウンの封入量でもシングルキルト構造かボックスキルト構造かで使用温度域に大きな差がうまれてきます。

シュラフによっては体の体幹部分にボックスキルトを使用して足元はシングルキルトと言う両刀使いのシュラフもあれば、全てがボックスキルトになっているというシュラフもあります。

ナンガやイスカ、モンベルなどの3シーズン対応の主力モデルは、背面は体重でロフトが潰れるのでダウンやファブリックを節約するためにシングルキルト構造で上面はボックスキルト構造になっているというコンビネーションモデルが多く見られます。

ボックスとシングルの構造の違いは上にある通りですが、ファブリックの量がボックスはシングルと比較すると約2倍と言われています。

ファブリックの節約によって重量を抑えることもできるし、価格を抑えることもできるので、軽量に特化したサマーシュラフには積極的にシングルキルト構造が使用されています。

冷気を防ぐ効果的な4つの構造

フットボックス

寝る時に足首が立つようになりますがその形に合わせて足元を立体構造にして足のつっぱりによって起こるロフトダウンを防ぐ作りがフットボックスです。

フットボックスではないシュラフの場合の懸念は、つま先がシュラフの上面にあたって冷たくなることが考えられます。

ドラフトチューブ

ドラフトチューブはジッパーが体に接しないようにするために作られたダウンが封入されたチューで、ジッパーによるコールドスポットを軽減する効果があります。低温向けモデルシュラフに配置されています。

ショルダーウォーマー

シュラフの中で暖かい空気は上昇する傾向があります。首元と肩の部分を包み込むマフラーのような働きで、寝袋内部の温まった空気の流れを効果的に防ぐ働きがあります。

フードの構造

頭からの放熱というのは大きく、寒い時期にシュラフに潜り込むと特に頭部の寒さが気になります。頭部を包み込む立体的なフードによって寝心地を損なうことなく機能的に保温してくれるシュラフを選ぶことは重要です。

寝ていて唯一、顔の部分だけ空いているので、寒ければ寒いほど、ここからの冷気の侵入を防ぐことが重要になってきます。

口だけを出して寝るといったようなことを考えるとドローコードで絞った時の顔へのあたり具合や、フード周りに封入されているダウン量にも気を配ることが重要です。

シュラフの使い方

使い方のポイント

使用するタイミング

テントを立てたらマットを引いてシュラフスタッフサックから出してしっかりとロフトが出た状態で寝ることが重要です。

ダウンがしっかり乾いている場合は30分から1時間ほどでしっかりとダウンの嵩が蘇ると思います。

スタッフサックへのしまい方

シュラフを購入したタイミングではシュラフは綺麗に折りたたまれてスタッフサックに入っています。

これを毎回スタッフサックにしまう時に繰り返すことは実際には大変困難なので、押し込むようにしてしまいます。

使用するタイミングでは体から出た湿気や空気中の湿気などを含んでいるので若干嵩が落ちている状態でスタッフサックに押し込むことになると思います。スタッフサックの奥の方から順に突っ込んでいくような感じでスタッフサックに入れ、最後にドローコードで閉めておしまいです。

保管方法

使用後は陰干ししてしっかりと湿気を取った後にストレージサックに保管します。除湿器を部屋にかけて湿気を取った状態で乾かすと1~2日でしっかり乾いてくれます。

メンテナンス方法

クリーニングは専用洗剤を使用しましょう。家庭用のものでもOKなのですが、芳香剤など余計な成分が入っていると保温力が失われてしまいます。

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またダウンは積極的に洗うことをメーカー側はおすすめしています。寝ていると汗などで皮脂が付着し、そうすることで保温力は失われます。洗ったあとの乾かし方は、乾燥機などで乾かし、偏ったダウンを手でパンパンと叩きながらほぐします。

それなりにメンテナンスは大変なので、シュラフと直接体が触れないように、シーツを使うのをおすすめします。

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特徴的なおすすめのダウンシュラフ

モンベル 寝袋 シームレス ダウンハガー900#5

ダウンの片寄りを防ぐための隔壁を廃した、画期的な「スパイダーバッフルシステム」採用のスリーピングバッグ。超高品質900フィルパワー・EXダウンと超軽量シェル素材を組み合わせ、モンベル・スリーピングバッグ中、最軽量・最コンパクト(同番手での比較)を実現しています。従来モデル同様にストレッチ性を備えつつ、ダウンの保温力を最大限に引き出します。汎用性に優れ、夏の高山から冬の低山キャンプまで一年を通して使用できます。

モンベル(mont-bell)寝袋 シームレスダウンハガー900#3 バルサム(BASM) R/ZIP #1121350
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ナンガ (NANGA) ウルトラドライダウンバッグ UDD BAG 380DX

DXの羽毛に超撥水加工を施した高品質で高機能ダウン(770FP)を採用し、最大の弱点・水濡れを克服。これまで選ばれてきた水に強い化繊の寝袋と比べ、軽く小さく暖かい。強い反発力で膨らむ時間も短縮され、寒さから早く身を守ることも実現しました。

ナンガ (NANGA) UDD BAG 380DX レギュラー YEL(イエロー)
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ナンガ(NANGA)

SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) スパークSpII

スパークは軽量コンパクトを徹底追求しつつ保温性を高めたシリーズウルトラライトライナーとして、また軽さを生かして厳冬期のエクスペディション用として幅広く活躍します。たとえ使用シーンが大きく違っても「気候に適合しつつ最軽量」という設計思想をしっかりと反映します。
スパークSp2はSpIと同様のシルエットながら要所にダウン封入量を追加し、保温性を高めたモデル。胴から上にボックス状の縦型バッフルを配置、より多くのダウンを封入して体幹部の保温性を向上。下部は軽量な縫いつぶしタイプの横型バッフル。ハーフ長ジッパーはスライダーを2個備え、換気や使い勝手に優れます。また従来モデルのサイジングを見直し、肩と腰にゆとりを設けています。
撥水トリートメントされたウルトラドライダウンは、ダウンに悪影響を及ぼす水分をほぼ排除。外部の大気中の水蒸気からダウンをまもり、内部で結露するのを防ぎます。ウルトラドライダウンの採用により、1gの違いが重要な意味をもつアルパインクライミングやアドベンチャーレースといった過酷な環境にも対応します。

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収納性に優れた800FPのNikwaxハイドロフォビックダウンと軽量シェル素材、Insotect Flowバーチカルバッフルを組み合わせたNEMOの山岳用マミーバッグのハイエンドモデルです。快適性を維持しながら細部の不要な部分をそぎ落とし、体のラインに沿ったシェイプを採用しています。軽さを追求するバックパッカー、ULハイカーに最適です。

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(出典 news.nicovideo.jp)

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