コンパクトに持ち運べるため、アウトドアで非常に便利な缶詰食品。後から加熱することもできますが、その際は鍋にお湯を張った「湯せん」が原則。バーベキューグリルなど直火で加熱することは非常に危険です。
理由は、缶の保護剤に含まれる内分泌かく乱物質(環境ホルモン)が溶け出してしまうから。缶詰を含む食品を多く扱う貿易商社の公式Twitterが啓発しています。
缶詰を直火で温めないで、と啓発しているのは、三幸貿易株式会社の公式Twitter。三幸貿易ではオイルサーディンやツナ缶といった缶詰や、北欧の缶入り食品(缶内で発酵させるため加熱殺菌をしないので「缶詰」ではない)シュールストレミングなどの輸入を手掛けています。
どの缶詰でも共通ですが、温める際は鍋やコッヘルにお湯を入れ、間接的に加熱する「湯せん」が原則です。直火の方が手っ取り早そうに見えますが、直火で加熱すると缶が熱で劣化し、内圧が高まって破損する上に、缶内面に塗布されたコーティング剤が溶けだし、体内に取り込んでしまうことがあるのです。
缶詰の内側には、内容物による腐食を防ぐため、エポキシ樹脂によるコーティング剤を塗布することが少なくありません。このエポキシ樹脂を作る際の原料になっているのが、ビスフェノールAという物質。
ビスフェノールAは合成女性ホルモン(エストロゲン)の有力候補として研究されていた時期もあり、比較的人体に吸収されやすい物質。マウスなどの実験では内分泌系をかく乱する働きがあるという報告もあることから、いわゆる「環境ホルモン」と認識されており、安全な量が食品衛生法によって定められています。
缶詰の製造工程では、最後の加熱殺菌工程で摂氏100度を少し上回る温度で加熱し、中の有害な微生物を殺菌していますが、この温度帯までならば安全性は担保されているということ。しかし、直火で加熱してしまうと遥かに高い温度にさらされるため、ビスフェノールAが溶出しないと保証することができません。
缶詰を温める際には、安全の担保された製造工程で加えられる温度より低い「湯せん」で行い、けして直火にかけないようにしてください。もともと缶詰は内容物が殺菌されているので、殺菌目的で高い温度にさらす必要はありません。
三幸貿易公式Twitterでは、次のようなコメントを寄せてくれました。
「缶詰は生鮮食品と違い、常温での持ち運びに適しており、アウトドアの厳しい環境に最適な食品形態です。フタを開けるだけで、ある程度調理済みなので残渣が出にくく、食材を洗う水が必要無いなど、環境にも良いことが多いです。今回は、見落とされがちな安全性の部分を取り上げましたが、屋外でも安全に美味しい物を食べて頂きたいと言う想いは缶詰メーカー共通の気持ちです。そのためにも、正しいお取り扱いをお願いいたします」
もちろん、アウトドアで缶詰を食べた時は空き缶を分別し、その場に残さず持ち帰るようにしてください。キャンプ場や湖などでは、時々投棄された空き缶による怪我が発生しています。アウトドアでは自然に感謝し、マナーよくありたいですね。
<記事化協力>
三幸貿易株式会社公式Twitter(@SANKO_TRADING)
<参考>
ビスフェノールAについてのQ&A 厚生労働省
(咲村珠樹)
(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
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