夏といえばアウトドア! ひとえにアウトドアと言っても、キャンプもあれば、ロッククライミングやバードウォッチングまで、多種多様です。
その中でも初心者が手を出しやすく人気なのがグランピング。言ってみれば、ちょっとゴージャスなキャンプといったところ。今回は、そんなグランピングで起こってしまったエピソードを紹介します。
今回お話を聞いたは専業主婦の和佳奈さん(仮名・34歳)。和佳奈さん一家は夫と息子の三人暮らし。そんな和佳奈さんの家族には時々とある「派閥争い」が起こるそうです。
「私は読書と料理が好きでどちらかというとインドア派の人間なのですが、一方の夫と息子の趣味はスポーツとキャンプで断然アウトドア派なんです。その上、実は私、虫、特に昆虫が大の苦手で…。毎年、夏の行事のことでよくもめてしまうんですよね」
そんなある日、3人は偶然テレビで紹介されていた「グランピング」特集を観たそうです。そのVTRでは、アイドルグループが実際にグランピング場を訪れ、オシャレなロッジでくつろいだり、テラスで満点の星空の元バーベキューをしたりしていました。
そんな楽しそうなアイドルグループの現地レポートに、和佳奈さんはふと「ママもここなら大丈夫かな」と口を滑らせたそうです。
「私がそういうことを口にしたのはそれが初めてだったので、夫も息子も大喜びでした。それで、2人は早速家族全員での初グランピングを計画し始めたんです」
和佳奈さんは、初体験のアウトドアチャレンジに少し不安があったものの、楽しそうに計画を立てる男性陣を見ていて、自分もわくわくが芽生えてきたそうです。
◆初めてのグランピングは好印象!
今回のグランピング施設は、自宅から2時間ほどの山間にあり、1泊2日で行くことになった和佳奈さん一家。
「当日現地に到着してみてすごく驚きました! 想像よりも施設がよくて、正直かなり満足でした」
キッチンなどの水回りもしっかり手入れされていて、料理好きの和佳奈さんにとってかなり好印象だったといいます。
荷物を置くと、早速夫と息子は虫取りや魚釣りをするために外へ。残った和佳奈さんは屋内で読書をすることにしたそうです。
窓からの大自然を眺めながらの読書は、都会の喧騒を忘却でき、和佳奈さんはとても満足した時間を過ごせたとそうです。
◆子どもがカブトムシを捕まえてきた
そんな充実した時間を過ごしていた和佳奈さんの元へ、少し申し訳なさそうな面持ちで父と子が戻ってきたそう。すると、息子がいきなり言い出しました。
「ママ、お願い。絶対に虫かごからは出さないし、観察するだけだから今晩だけこのテーブルの上に置いていい? 明日の朝には森へ返すから!」
よく見ると、かごの中には数匹のカブトムシが入っていました。それを目撃した瞬間、和佳奈さんは声を上げそうになりましたが、息子の必死なお願いに、首を縦に振りました。
「もちろん、嫌でしたよ。だって、私がアウトドアに踏み込めないのは“虫”が原因なんですから…。まっ、昼間に大自然を感じて、日頃の疲れも癒せたし、カゴから出さないのなら、と思って」
しかし、悪夢はその後すぐにやってきたそうです。
◆逃げ出したカブトムシ、森に響く絶叫
「わーーっ!」
観察に熱中している息子の悲鳴が聞こえたのでした。和佳奈さんは、大急ぎで息子のそばに駆け寄ると、そこにはなんとフタの開いた虫かごと、その周りをブンブン飛び回るカブトムシの姿が。
どうやら息子がスマホで撮影中に、虫カゴのヒモを手にひっかけてしまい、床に虫カゴを落としてしまい、その衝撃でフタが開いてカブトムシが脱走してしまったのです。
あろうことか、彼らは、さっきまで食後のスイカを切っていた、和佳奈さんの甘い汁がついた手をめがけて一番大きなオスが「ブーン」と飛んできたそうです。
「今度は私が向かいの森に響き渡るくらい『ギャァァァ!!』と大きな悲鳴をあげてしまったんです。その時は全力でカブトムシを振り払ったつもりだったんですが、恐怖の羽音が収まったと思った矢先、今度は目の前の息子が私を指差して『ママー! そこ!!』と叫んだんです」
◆スタッフも様子を見に来る事態に
恐る恐る顔を下げた和佳奈さんの視線の先には、服にひっかかった大きなカブトムシが、ちょうど胸の谷間のところに。
悲鳴を通り越して、なかばうめき声のような、家族の誰もが聞いたこともない奇声を発した和佳奈さん。
もはや何の声かわからない大声は、周囲の建物にも響き渡り、しばらくして施設の警備スタッフが慌てて部屋に飛んでくる始末に。
◆初グランピングは残念な結果に…
服にとまっていたカブトムシは息子によって取り払われ、スタッフには事情を説明して平謝りすることでなんとか収束したものの、和佳奈さんは恐怖から立ち直れず放心状態のまま床に座り込んでしまったといいます。
「私は半泣きで『もう帰る!』と言って、結局日付が変わる前にチェックアウトして自宅へ向かうことになりました…もう二度と行きたくないです……」
今回の一件で和佳奈さんの虫嫌いはさらに加速してしまい、軽度の「限局性恐怖症」を発症してしまったのだそうです。数回のカウンセリングに通い、幸い現在は少しマシになっていると和佳奈さんは教えてくれました。
結局振り出しに戻ってしまいましたが、いつの日か家族で楽しめる時間がまた戻るとよいですね。
―シリーズ「夏のトホホ話」―
<文/浅川玲奈 イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>
【浅川玲奈】平安京で生まれ江戸で育ったアラサー文学少女、と自分で言ってしまう婚活マニア。最近の日課は近所の雑貨店で買ってきたサボテンの観察。シアワセになりたいがクチぐせ。
(出典 news.nicovideo.jp)
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